手ぶらの人生
私には特別な才能はない
音楽が好きで本がすきで絵が好きだ
でもどれもそれ以上にはなりえない
素晴らしい歌を聴くとき
素敵な本を読んだとき
美しい絵を見たとき
感動するとともに
どこか胸が痛む
諦めきれないことがたくさんあった
諦めたことにしていたことが
彼らとともにまた私の前に現れる
音楽も文学も絵画もなに一つ
本気で取り組みなどしなかったくせに
才能がないなどというこの戯言こそ
自分自身を何も持たない手ぶらな人生にしたのだ
どん底にいる時ほど
全てが羨ましく妬ましく思えてしまう
私が尊敬する作品を生み出す人々は
私の人生一つ以上に苦労して努力を重ねたというのに
それでも私は彼らが生み出していく作品を
ただここで歩むことなく味わうのみだ
この先も私は何も持たずにこの道を行く
この道の先には暗闇も明かりもない
この道の跡には何も残りはしない
何も得ず何も持たず何も落とさず
終わりを迎えるその日までただこの道を逝く